BLOG

ホテルパーク355号室 / 岐阜市

yukari
01 Concept

本と客室の関係性

居心地を邪魔しないこと

ホテルの一室という場所はある一定の期間だけ、訪問客の部屋=居場所となります。

年齢・国籍・嗜好、さまざまな人をおおらかに包み込んで、安らいだ時間を提供する、それがホテルの担う側面だと考えます。

本というものはとても力が強いものです。あえてホテルの客室に据えるならば、その本のなかでゆったりと時間が流れていて主張しすぎず、でも凛とした立ち姿でいてくれる、そんな本がよいと感じました。

02 Concept

川端康成と長良川

所縁をひもとく

”岐阜名産の雨傘と提灯を作る家の多い田舎町の澄願寺(西方寺)には、門がなかった。” 

この一文で始まる川端康成の「篝火」- ある女性との恋の思い出が、岐阜の景色とともに綴られている小説です。

篝火(かがりび)は、長良川の夏を映す鵜飼舟にかけられて、水面を朱く染める灯り。

若き日に初恋の火を胸に灯した川端が、愛しい人と眺めたであろう夏の風情は、今もそのまま、この岐阜の河畔に生きています。

青春を経て川端が世界に残した文学を、この河畔の一室で感じてみるのも趣深いことです。

「窓辺のこと」著:石田千/画:牧野伊三夫/出版社:港の人
「まどみちお詩集」出版社:角川春樹事務所
「暮らしを旅する」著:中村好文/出版社:KKベストセラーズ
「夕映え少女」著:川端康成

photo by shimon

ABOUT ME
市川由加里 / YUKARI ICHIKAWA
市川由加里 / YUKARI ICHIKAWA
BOOK SHELF DIRECTOR
1975年 岐阜市生まれ 岐阜大学卒業後 イギリス・ロンドンへ留学 帰国後 祖母の代からつづく美容の店「菊川美容健康道場」入店 以後美容の道へ 子どものころからの読書習慣が高じて2022年7月 新しい選書サーヴィス【とある一冊の本】をスタートさせる オンラインでの取り組みが反響を呼び 新聞・ラジオ・テレビ等 多数とりあげられている
記事URLをコピーしました